A.2010(平成22)年に施行された「排他的経済水域及び大陸棚の保全及び利用の促進のための低潮線の保全及び拠点施設の整備等に関する法律(以下、低潮線保全法)」では、本土から遠隔地にある特定離島において、海洋資源の開発・利用など排他的経済水域等の保全及び利用に関する活動拠点として、船舶の係留、停泊、荷さばき等が可能となる港湾施設の整備を国土交通大臣が行うことと規定しています。同法に基づき、特定離島港湾事務所では、沖ノ鳥島・南鳥島における活動拠点施設の整備・利用・保全・管理を主な仕事として行っています。2010(平成22)年に特定離島港湾施設整備に着手し、特定離島港湾事務所は2015(平成27)年に立ち上がりました。
A.特定離島に関する国の事務又は事業の用に供する港湾の施設の建設・改良及び管理、一定の水域の占用等の規制、排他的経済水域の起点となる低潮線を保全する区域内の行為規制などの業務のうち、主に管理に関する業務を担当しています。
A.広大な排他的経済水域を有し、海洋立国を目指す日本にとって、海洋資源の開発・利用、海洋調査等に関する活動が注目されてきています。これらの活動が、本土から遠く離れた海域においても安全かつ安定的に行われるためには、遠隔離島において、輸送や補給、荒天時の待避等が可能となる活動拠点が必要となります。こうした活動の拠点となる整備を図ることが必要な離島として、低潮線保全法の政令によって、2010(平成22)年6月に沖ノ鳥島及び南鳥島が特定離島に指定されました。
A.2010(平成22)年以前、港湾施設は整備されていませんでした。
A.沖ノ鳥島は2011(平成23)年度から2027(令和9)年度で整備を進める計画です。南鳥島は、2010(平成22)年度から事業着手されており、2022(令和4)年度に整備完成を予定しています。
A.東京から遠く離れた場所で工事を実施するため、多くの作業員、船員、重機オペレーターといった方々や資機材の輸送のため、作業船団で現地へ渡島する必要があります。必要な機械や資材を全て輸送しなければなりません。加えて、天候の問題があります。特に沖ノ鳥島は波浪状況が安定しません。春先から夏ぐらいの台風が来るまでの間が比較的穏やかな期間となるので、そういった時期を定めて工事を行います。1年中いつでも工事が実施できるわけではなく、限られた期間に計画どおり工事を進めなければいけないのが難しいところです。台風等が近接する荒天時には強風と高波が発生して、沖ノ鳥島では現地に滞在することが危険となることがあるため、作業船団が停泊可能な沖縄や鹿児島等へ退避することがあります。天候は非常に重要であるため、現地工事には気象予報士も帯同します。
A.特定離島港湾施設の管理や特定離島港湾区域及び低潮線の水域を管理するため、日々、巡視を行っています。また、島内にある国有財産などに損傷が生じていないか点検を行うとともに、施設整備にかかる工事監督を行っています。
A.沖ノ鳥島は作業船団で現地へ渡島し、作業船舶上で生活します。私たちのような工事監督者と、工事を受注されている事業者とが同じ作業船で過ごすわけですが、船内には各々の事務所があって、島内に港湾保全管理所がある南鳥島と異なり、沖ノ鳥島の場合は、船内に港湾保全管理所が設置されます。
A.沖ノ鳥島周辺海域では、関係機関による調査・研究等が行われています。しかし港湾施設がないため、沖合で本船から小型船や台船へ資機材等を積み替えて海上輸送を行わなければなりません。臨港道路を含めて港湾施設が整備されることで、資機材の荷揚げや作業員の上陸などが安全かつ効率的に実施できるようになります。
A.南鳥島で活動している機関の物資輸送の効率化や、周辺海域での調査船舶等の運航効率化及び海洋資源開発の拠点形成が図られることが期待できます。特に、南鳥島は研究機関による活動が盛んに行われているため、調査はもちろん、調査以降の事業も港湾施設の有効活用で効率的に進んでいくことが期待されます。
A.沖ノ鳥島は監督業務で2021(令和3)年に1.5ヶ月ほど渡島しており、南鳥島は2021(令和3)年と2022(令和4)年の2回渡島しました。作業船舶上での工事監督業務や離島における生活は初めてで、正直不安が大きくて準備万端で臨んだ記憶があります。現地は日陰がないため熱中症対策は万全にするのが基本です。スコールがある地域ですので、随時気象・海象状況を注視する必要もありました。その甲斐あって無事故・無災害で業務を遂行することができました。大変なこともたくさんありますが、非常に有意義で貴重な経験ができたと思います。他省庁の方々と生活を共にして交流を深められたのも良い思い出です。
A.東京から遠く離れている沖ノ鳥島・南鳥島の周辺海域では、法令に基づき様々な機関が各種活動を行っています。私たちは、安全かつ安定的に活動ができるよう、施策の着実な実施・充実のため、引き続き、安全第一で拠点施設の整備を推進してまいります。