A.2000(平成12)年に総理府科学技術庁に入庁後、中央省庁再編に伴い文部科学省職員となり、ライフサイエンス、ナノテクノロジー、宇宙開発、素粒子物理学、原子力などの諸分野の研究開発を担当してきました。2021(令和3)年8月から現職につき、戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的深海資源調査技術」プロジェクトの担当をしています。
A. 戦略的イノベーション創造プログラム (SIP:Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が司令塔機能となって、府省の枠や旧来の分野を超えてイノベーションの実現を目指すプロジェクトです。
A.海洋分野では、第1期(2014(平成26)年度~2018(平成30)年度)で日本近海における海底資源について広く調査を実施し、続く第2期(2018(平成30)年度~2022(令和4)年度)では、特に南鳥島海域で確認されたレアアースに焦点を当て、どれくらいの量のレアアースがどのように分布しているのか、海底からレアアースを含む泥をどのようにとってくるか、海底資源開発をする際の環境影響をどう評価するかなどの課題について、技術開発と将来的な資源開発に向けた検討・調査を実施しています。
A.これまでの成果としては、南鳥島海域には相当量のレアアースが存在していることが判明しました。現在は、経済性にも配慮しながら、6,000m程度の海底からレアアースを海上まで引き揚げ、資源として活用するための技術開発、調査研究を進めています。レアアースを含む泥の引き揚げについては、海底油田で使われている掘削技術を応用し、海底で泥と海水を混ぜて泥水としてポンプでくみ上げる技術を開発しています。一方で、海底から引き揚げた泥の中にはレアアース以外のものが非常に多く含まれているため、南鳥島に第一次精錬プラントを作ってレアアースを濃縮した上で本土まで運搬することができないかということもあわせて検討しています。また、こうした海洋資源開発においては、周辺海域の環境に悪影響がでないようにすることが不可欠であり、都内の中小企業が開発した小型海中観測装置である「江戸っ子」を活用し、周辺の海洋環境を常時モニターするシステムの開発も進めています。
A.小笠原諸島は世界自然遺産に登録されています。また、南鳥島海域は世界的に貴重な資源があることがわかりました。東京都は大都会というだけでなく、自然も、資源もある多様性のある自治体だと知ってもらえるとうれしいです。