A.沖ノ鳥島は、北緯20度25分、東経136度04分に位置し、東京から約1,700km、小笠原諸島父島からでも約900km離れた我が国最南端の島です。 この島は、東西に約4.5km、南北に約1.7km、周囲11kmの卓礁で、我が国の国土面積(約38万k㎡)を上回る約40万k㎡の排他的経済水域を有する国土保全上極めて重要な島ですが、満潮時には北小島、東小島の2つの島が海面上に残るのみとなってしまいました。 この2つの小島が侵食により、水没する恐れがあったため、1987(昭和62)年から護岸の設置等の保全工事を実施しました。 しかしながら、気象・海象条件が厳しく、小島を破損させる恐れがあることから、チタン製ワイヤーメッシュの防護工を設けるなどの保全対策を実施しました。 このような背景のもと、1999(平成11)年には国土保全上極めて重要である沖ノ鳥島の保全に万全を期するため、全額国費により国土交通省(当時建設省)が直接海岸の維持管理を行うことになりました。 2010(平成22)年には「低潮線保全法」が施行され、同法に基づき、沖ノ鳥島についても14箇所の「低潮線保全区域」が設定され、沖ノ鳥島の管理がますます重要となりました。 2020(令和2)年には、設置してから約30年が経過し、塩害による腐食や台風などによる破損により老朽化している観測拠点施設の更新を行いました。
A.沖ノ鳥島は日本で唯一の熱帯雨林気候地帯に位置する島であり、気象・海象条件が厳しいため消波ブロックとコンクリートにより小島を保護しています。
A.施設更新により、沖ノ鳥島の気象海象データを継続・安定して観測することが可能となります。
A.①護岸コンクリートの点検・補修
東小島と北小島はともにコンクリート護岸で防護されています。沖ノ鳥島は日本で唯一の熱帯雨林気候地帯に位置する島であり、高温多湿や干満によるコンクリート表面の急激な温度変化や波浪による衝撃等により、はく離やひび割れ等が発生する恐れがあります。そこで、護岸コンクリートの損傷についての調査や点検、ひび割れ箇所については、補修や破片の撤去作業を実施しています。
②気象・海象観測機器等のメンテナンス
観測拠点施設には、気象・海象観測機器を設置しています。ここで取得した気象・海象データは沖ノ鳥島の保全対策等の検討に活用しています。
また、レーダ、CCTVカメラにより見慣れない船舶に対して、海上保安庁と連携し、監視体制を強化しています。
これらの機器について、適切なメンテナンスを実施し、観測や監視に万全を期しています。
③サンゴ等環境の調査
沖ノ鳥島はサンゴで出来た島であるため、小島を保全するための消波機能(環礁、礁嶺)を維持するために必要な、サンゴ類の生息状況の調査、観測及び養殖試験を行っています。
④低潮線の巡視
排他的経済水域等の基礎となる低潮線の周辺水域を船舶にて巡視しています。
A.設備に使用する電力は太陽光パネルを設置し電力供給を行っています。
A.毎年、沖ノ鳥島に渡島して護岸等の維持管理や環境調査等を行っており、実際に職員も現地に渡島しています。
A.渡島中は作業船で食事や寝泊まりをしています。テレビや携帯電話も通じない普段の生活とは異なる環境で船上生活を送ります。また、現地は厳しい気象海象での作業となり、日陰もない場所で作業を行いますので熱中症等にかからないよう安全に配慮しながら作業を行っております。
A.国土交通省関東地方整備局に海岸課という部署があるのは唯一京浜河川事務所だけです。海岸課で担当する仕事は沖ノ鳥島の管理・保全の業務と、神奈川県の西湘海岸において海岸保全対策を行っており、現在6名の職員がその仕事に携わっております。
A.沖ノ鳥島と言う名前は多くの方がご存じだと思います。教科書等でも「北小島」「東小島」2島の丸い島として紹介されていることが多く、小さな丸い島だとイメージされている方もいるかもしれませんが、沖ノ鳥島は、周囲約11㎞の長楕円形のサンゴ礁で出来た島で、約40万k㎡の排他的経済水域を有する国土保全上極めて重要な島です。 この沖ノ鳥島について、都民や国民の皆様に重要な島であること理解して頂き、京浜河川事務所が行っている島の保全作業等にご理解頂くことが必要なことと思います。