A.日本離島センターは、離島振興推進にあたっての拠点組織として1966年に設立され、2026年で60周年を迎えます。島を有する全国の市町村で構成されており、現在の会員数は136市町村にのぼります。 島の魅力を発信するイベント「アイランダー」を開催するほか、各地の情報を盛り込んだ季刊『しま』などの刊行・配本、離島に関する調査研究の実施や提言、講演会・研究会・研修会などを行っています。 さらに、島で活動する人々を支援するための助成金制度も設けており、地域の取り組みや島の方々の活動を積極的にサポートすることが私たちの基本的な役割だと考えています。

A.私は瀬戸内海に面した町で生まれ育ちました。学生時代は関西で過ごした後、公益財団法人日本離島センターに入社しました。 入社後は、日本の島ガイド『SHIMADAS(シマダス)』(2019年刊行)や島ごとの統計をまとめた『離島統計年報』の編集に携わるなど、全国の離島に関する情報を収集・整理・発信する仕事を担当しています。また、研修会や会議などの機会に、実際に島を訪れることも少なくありません。 仕事で島に行くことが多いですが、業務だけでなく普段から島のことをより深く知ろうと心がけています。

A.在学中は、キャリアについて深く考えていませんでした。地域に対して漠然とした関心はありましたが、特定の地域に限るのではなく、地域と地域をつなぐような仕事がしたいと考えていました。 そんなとき、私のことをよく知る友人と「こういう所があるよ」と何気なく話したことがきっかけで日本離島センターに興味を持ち、現在まで働いています。 ちなみに、その友人は私の入社前に刊行されていた『SHIMADAS(シマダス)』の2004年版を持っていて、島の魅力を発信するイベント「アイランダー」で2019年版を発売した時にも来てくれました。(笑)
A.島に関する情報収集、各刊行物の編集業務に加え、メディアからの問い合わせへの対応も行っています。 島のことを調べたいと思って検索すると、日本離島センターのHP「しましまネット」に行きつくことが多いようです。問い合わせいただいた方に提供できる情報を集め、形にして発信する。その一連の流れの中に私の仕事があります。 また、本財団で実施している島の住民向け研修や産品の販路拡大イベントなどの事業も担当しています。

A.特に印象に残っているのは、島の情報をまとめた冊子の編集に携わったことです。
2019年に発行した日本の島ガイド『SHIMADAS』は、日本全国の有人島だけでなく、無人島もできる限り掲載するようにし、島国日本の全体像を「島」という切り口で掴んでいただける一冊です。先輩方が収集されたものや、島の皆さんから提供いただいた膨大な情報を取捨選択し、長い年月をかけて完成させることができました。この経験で、島と島をさまざまな側面から比較しながら考える視点が養われ、今の仕事の基盤になっています。
2023年に作成した無料冊子『島々の日本』は、より多くの方に島の魅力を知ってもらうため、写真家や地図会社と協力し、ビジュアル中心に分かりやすくまとめた一冊です。希望者には無料で配布しており、現在も継続しています。
※無料冊子『島々の日本』のお申し込みはこちら
A.実は、明確な定義があるわけではありません。ただ、「島」という言葉自体は、「水で囲まれた陸地」のことを指します。一般には、オーストラリア大陸よりも小さな陸地が「島」とされています。ですから、日本を構成する陸地はすべて島ということになります。そのうえで、日本離島センターでは、北海道・本州・四国・九州の4つの大きな島に沖縄島(沖縄本島)を加えた5島を「本土」、それ以外の小さな陸地を「島」と考えています。


A.大きく3つの特性から見た役割があります。 1つ目は「地理特性から見た役割」です。 「日本の端はすべて島」です。離島があることで、日本の領海や排他的経済水域が確保されています。陸地面積だけで見れば日本は世界61位ですが、海域を含めるとその順位は大きく上がります。地理的に非常に大きな意味を持っているのです。 2つ目は「自然特性から見た役割」です。 島には多様な自然環境があり、固有・稀少の動植物を育み、日本の生物多様性に広がりを持たせています。日本の世界自然遺産のうち、5件中3件が島にあります。藻場・干潟、森林、農地などが空気や水をきれいに保つ環境浄化・維持の機能を果たしています。また、海をはじめ自然のレクリエーションや観光、保養、環境教育の場を提供し、心身の健全な成長に貢献しています。 3つ目は「文化特性から見た役割」です。 島には独自の祭りや風習、貴重な建造物や美術工芸品などが多数存在していて、多様な文化が息づいています。また、島は地域文化などを活かした体験学習や相互交流の場となっています。 文化財の指定や登録そのものも重要ですが、その過程で地域を見つめ直し、どんな価値があるのかを再発見するプロセスにも大きな意味があると考えています。

A.沖ノ鳥島と南鳥島は、特に「地理的特性」において非常に重要な島です。日本の排他的経済水域を確保する上で欠かせない拠点であり、その役割は他の島々と比べても際立っています。 現地に行ったことはありませんが、自然面でも生物や資源など、さまざまな可能性を秘めていると認識しています。もちろん、日本の他の島々も重要な役割を果たしていますが、沖ノ鳥島と南鳥島の存在は特に大きいと感じています。 東京都が実施されている両島に関する調査研究事業やシンポジウムにも大きな関心を持っています。

A.一番の島を決めるのは難しいのですが、新潟県佐渡島は今年3回訪れました。我が家の食卓にも佐渡の米や果物が並んでいます。人が住む離島の中では日本最大の面積を誇り、地域の多様性や産業の広がりに触れるたびに新しい発見があります。2024年に世界文化遺産登録という明るいニュースもありました。 島には観光だけでなく、産業や暮らしなどさまざまな側面があります。私は「島にどんな産業があるのか」「住んでいる人たちがどのような暮らしをしているのか」「地域の資源をどう活かしているのか」といった視点に強く関心を持っています。 例えば、海の環境が変わり、獲れる魚が変化しているという話を聞きます。新しい魚種への対応策について、他の島で見聞きした事例が役立つこともあります。このように島と島をつなぐことが私たちの役割だと思っています。

A.仕事で行く場合、家族や友人と行く場合などシーンによって変わりますが、大切にしているのは「移動行程を楽しむ」ことです。船や飛行機での移動は、単なる手段ではなく旅の一部として島を知る入口だと思っています。 島に着いたら、まず、できる限り見晴らしの良い高いところへ登ります。山や丘の上から島全体を見渡し、「次はここに行こう」と計画を立てる参考にします。島は地形がわかりやすいので、全体を俯瞰するのはとてもおすすめです。 また、島ではあまり予定を詰め込みすぎず柔軟に動くことも大切にしていて、祭りやイベントが行われていれば積極的に参加します。皆様にも時間に囚われず島の文化に触れることをおすすめしたいです。
A.『SHIMADAS(シマダス)』や季刊誌『しま』で過去に取り上げた記事を島へ訪れる前に確認するようにしています。もちろん現地で新しい発見をすることも大切ですが、事前に情報をインプットしてから訪れると、より深い気付きが得られることがあると思います。

A.私は島に住んでいる立場ではないので、島に住んでいない者の見方になりますが、「知らないこと」「体験したことのないこと」に溢れていることが魅力です。日常のマンネリから抜け出して好奇心を持って新しいことに触れられる――島にはそんな環境があるのです。さらに、島ごとに文化や暮らしが異なり、その多様性が日本全体の豊かさにつながっていると考えています。 島の魅力は自然や景観のみではなく、たくましく活動されている島人の魅力というのもあります。島の人たちは、一つの仕事だけでなく複数の役割を担う実にマルチな働き方をしています。また、自然を相手にする、航路がないと移動できないといった「どうしようもないこと」に対して寛容に対峙されています。その柔軟さと力強さが、島の人々の魅力だと私は思っています。

A.東京都には、伊豆諸島や小笠原諸島といった人が住む島々がたくさんあります。ハードルが高いと感じる方もいるかもしれませんが、ぜひ一度足を運んで島の魅力に触れていただければと思います。さらに言えば、東京は奄美や沖縄の島々への直行便もあるなど、全国的に見ると島へのアクセスが良い地域です。東京の島々はもちろんのこと、全国の島々へ旅するための拠点として、とても恵まれた場所なのです。 東京では、本財団で毎年11月に実施している「アイランダー」など、全国の各島々のイベントも頻繁に開催されています。そういったイベントにもぜひご参加ください。きっと新しい発見があると思います。