A.小笠原村の大きな魅力の一つは美しい自然です。私は47年前の学生時代に、ダイビングをする目的で初めて小笠原を訪れたのですが、そのときに感じた海と山の美しさは今も変わりません。この自然に惹かれて小笠原村へ移住する人が多く、ダイビングやサーフィン、シーカヤックなどを通じて得られる特別な体験は、小笠原ならではの魅力です。現在、村民の7~8割は、もともと小笠原と縁のなかった移住者で、私自身もその一人です。小笠原村では「スマイルツーリズム」というビジョンのもと、自然との触れ合いや人との出会いを大切にする島の暮らしが観光にも活かされています。
私が初めて小笠原を訪れた際、船での長旅の後、島の人々の温かさに触れたことが移住を決意するきっかけになりました。そのとき出会った人々も移住者で、新たな生活を楽しんでいました。小笠原には旧島民も移住者も分け隔てなく受け入れる文化があり、この歴史と人の温かさが小笠原のもう一つの魅力です。小笠原は、自然と人の温かさが融合した特別な場所です。この島での体験を、ぜひ多くの方に味わってほしいと思っています。
A.学生時代からスポーツが好きで、小笠原村役場職員になってからは、バレーボール大会やサッカー大会、バスケットボール大会などいろいろなスポーツ大会に参加していました。今では、土日に特に予定がなければのんびり過ごすようにしていますが、体を動かすことが好きなので、土曜の朝は島の仲間と野球を楽しんだり、テニスをしたりしています。運動の後には、クールダウンを兼ねて少し海で泳ぐこともあります。もちろん、土日に行事が入ることも多いですが、スケジュールを見ながら合間を縫って自分なりにリラックスできる時間を作るようにしています。
小笠原には自然が身近にあり、リラックスしたり運動したりと、気持ちを切り替える環境が整っています。忙しい中でも、自然と触れ合いながらメリハリをつけた生活ができることがとても気に入っています。
A.前村長の森下村長が2013(平成25)年の小笠原返還45周年の記念行事として提案したことが始まりでした。議会とのやり取りの中で、議員から「沖ノ鳥島への視察を行うのはどうか」と提案があり、返還45周年の行事としておがさわら丸をチャーターする計画が進められていました。しかし、台風の影響で中止となってしまい、その後も現地での工事の状況や台風の影響によって実施が延期されていました。2021(令和3)年7月に前村長が亡くなり、私が村長に就任した際、前村長の遺志を継いで、何とか1期目の任期中に視察会を実現させたいと強く決意しました。2021(令和3)年9月時点では視察会に関する予算が確保されておらず、2022(令和4)年度も新型コロナで動きが取れませんでした。その後、2023(令和5)年5月に新型コロナが5類感染症に移行したこともあり、2024(令和6)年度の視察会実施を決断しました。そこから1年かけて準備を進め、今年の7月にようやく視察会を行うことができました。
A.まずは無事に実施できてほっとしました。また、視察会の実施時期について、非常に良いタイミングだったと感じています。これまで、台風の影響で中止になることが多かったので、今回は台風の多い8月から9月を避け、海況が比較的安定している7月を選びました。この時期を選んで本当に良かったと思っています。
A.今回、多くの村民が視察会に参加しましたが、私自身も初めて沖ノ鳥島を実際に見て、その存在の大きさを改めて実感しました。特に印象に残ったのは、リーフの広さで、実際に沖ノ鳥島の周りを2周してみてその規模に驚きました。また、北小島、東小島については、国によって護岸の設置等の保全工事が行われており、小島そのものを見ることはできませんでしたが、砂が堆積している様子を目にすることができました。そして、国が行っている桟橋工事について、その大きさを実際に目の当たりにし、改めてこの島の重要性を実感しました。
沖ノ鳥島が小笠原村の一部だということは、多くの村民が理解していることだと思いますが、実際に見ることで意識が変わるのも事実です。今回の視察に参加した百数十名の村民には、その思いをしっかり伝えました。今後は、参加者が他の村民にもその重要性を伝えてくれることを期待しています。
A.沖ノ鳥島そのものにとても感激しました。特に印象に残っているのは、視察会に参加された方々が沖ノ鳥島を見ている後ろから、私が写真を撮影した時に、心から喜んでいる皆さんの姿を見られたことです。皆さんの笑顔を見て、本当に嬉しかったですし、この場所の素晴らしさがしっかり伝わったことを実感できました。
A.皆さんそれぞれ異なる言い方をしていましたが、「視察会に参加して良かった」という意見が圧倒的でした。また、「次は南鳥島を見てみたい」という声も多くいただきました。事前に船会社と話をする中で、南鳥島は距離が遠く、燃料の問題があるため、行くのは厳しいという話がありました。私も南鳥島を見てみたい気持ちは村民の皆さんと同じでしたが、状況を考えると「やりましょう」とは言えず、燃料の問題があるということしか伝えられなかったのが残念でした。
A.沖ノ鳥島や南鳥島は小笠原であり東京都の一部であることを、もっと多くの方々に知ってもらいたいと考えています。沖ノ鳥島や南鳥島はアクセスが難しく、実際に訪れる機会はほとんどないかもしれませんが、東京都に属するという事実自体が、都民としての誇りやつながりを感じてもらうきっかけになるのではないかと思っています。このインタビューを通じて、少しでもその重要性を伝え、沖ノ鳥島や南鳥島の存在が東京都にとってどれほど大切なものであるかを理解していただければ嬉しいです。