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気象庁大気海洋部業務課
南鳥島気象観測所長
吉見 英史 様

※取材日:2021(令和3)年10月13日

気象庁大気海洋部業務課 南鳥島気象観測所長 吉見 英史 様

    ◆吉見英史様の経歴と南鳥島での業務について

  • Q.吉見英史様の経歴について教えてください。

    A.気象庁に入庁し、富士山測候所(現:特別地域観測所)、札幌管区気象台、東京管区気象台などに勤務しました。また、第36次及び49次日本南極地域観測隊気象庁隊員として昭和基地に勤務し、地上気象観測や高層気象観測を行いました。

  • Q.現在のお仕事について教えてください。

    A.現在は、気象庁大気海洋部業務課・南鳥島気象観測所長を務め、気象観測、環境観測業務、施設の維持管理業務を行っています。また、島内における業務が円滑に実施されるよう島内に駐在する南鳥島航空派遣隊(海上自衛隊)及び南鳥島港湾保全管理所(関東地方整備局)と調整を行っています。また、職員の健康管理も所長の仕事です。

    ◆南鳥島で取り組まれている観測について

  • Q.南鳥島の観測実施に至る経緯を教えてください。

    A.南鳥島での気象観測は、1935(昭和10)年に海軍水路部気象班により開始されました。戦後は米軍の占領下でしたが、1968(昭和43)年の小笠原諸島日本返還以降は、気象庁が南鳥島気象観測所を設置し、防衛省の支援のもと気象観測を行っています。

  • 高層気象観測 野島技官
  • Q.南鳥島で働く人のことを教えてください。

    A.現在、南鳥島には気象庁のほか、海上自衛隊及び関東地方整備局の職員が駐在しています。気象庁は10名ほどの職員が3か月交替で派遣されています。

  • 環境気象観測 吉田主任
  • Q.南鳥島で行われている観測内容を教えてください。

    A.南鳥島気象観測所では気温、風向風速、降水量などを測る地上気象観測や、気球を揚げて上空約30kmまでの気温、風向風速などを測る高層気象観測を実施しています。また、南米チリ沖等の日本から遠く離れた太平洋で発生した地震に伴う津波(遠地津波)を、本土の沿岸に到達する前に捉えるために、遠地津波観測を行っています。これら観測したデータは、衛星を経由し気象庁へ伝送され、気象警報・注意報や津波警報・注意報などの防災情報に活用されています。
    さらに南鳥島では、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガス、大気中に浮遊する微粒子(エーロゾル)、日射放射の強さ等の様々な地球環境観測も実施しています。地球環境観測は、世界的に高く評価されており、1993(平成5)年に国連専門機関である世界気象機関が構築する全球大気監視計画において、地球規模の環境を観測するのに最も適していると認められ、世界でもわずか30観測点(2021(令和3)年10月現在)しかない全球観測所の内のひとつです。また、気象庁では防衛省の協力を得て、職員が南鳥島に渡る際に乗る航空機を利用し、同島までの飛行経路上(高さ約6kmの対流圏中層)で大気試料を採取する温室効果ガス観測を実施しています。

  • 高層気象観測 放球
    地上気象観測施設
    東海岸の道しるべ

    ◆都民の皆さんへメッセージ

  • Q.都民の皆さんに南鳥島について伝えたいことを教えてください。

    A.南鳥島は東京から遠く離れた孤島のため、観測を実施するために物資の輸送や職員の勤務で苦労することが多いですが、太平洋上の孤島であるため大都市域から遠く、人間活動の影響を直接受けないという利点を生かして、様々な地球環境観測を行っています。気象観測や地球環境観測を精度よく地道に継続していくことが、防災・減災に寄与し、また、将来の地球環境も守るためにも重要と考えています。


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